「神秘」「秘境」「静寂」雨期のヒマラヤはどんな世界!?
これまでの虎の巻は乾期のネパール(10月~5月)を前提としてきました。乾期は晴天率も高く、ほぼ連日ヒマラヤの展望が楽しめるため、世界中から多くのトレッカーが集まってきます。
近年、エベレスト街道とアンナプルナ・エリアではインフラが急速に発達し、携帯電話やインターネットが5,000m付近でも使えるようになりました。また、水力・ソーラー発電により、24時間電気があります。
少し前までイメージされていた「ヒマラヤの秘境」といったイメージは変わりつつあると言えるかも知れません。
「神秘」「秘境」「静寂」・・・そんなかつてのキーワードが符号するのは、今や「雨期のヒマラヤ」なのです。
今回は余り知られていないヒマラヤの雨期についてご紹介します。
ネパールは6月~9月の間、雨期(モンスーン)となります。実際は8月の終わりに雨期明けを迎えるのですが、少し後ろにずれ込むこともあり、当社では9月も雨期に位置付けています。(ちなみに欧米のトレッカーは、空いている9月にトレッキングを開始することが多いそうです)
雨期といっても1日中シトシト雨が降るわけではありません。
夕方、ざっと降って、夜間から朝方には晴れるケースがほとんどです。
また、日中は日が差していることもあり、レインウェアを来て連日歩くというのは滅多にありません。
日本の雨期のようなジメジメとした蒸し暑さはなく、日陰に入れば涼しく過ごしやすい気候です。
この時期はトレッカーが少なく、人気のエベレスト街道もひと夏の静寂が訪れます。
耕作地には農作物が育ち一面緑の大地に覆われ、大地の豊かさを感じさせてくれます。
緑豊かな草地にはヤクなどの家畜が放牧され、のんびりとした時間の流れを感じさせ、トレッカーで賑わう乾期とは一変、「秘境」という一面を覗かせます。
7,000m以上の峰々は、雨期の降雪でその姿を白く彩ります。
乾期には黒く見えるエベレストもこの時期は白い雪をまとった穏やかな山容に変わります。
空は雲に覆われヒマラヤが見える確率は低くなりますが、雲の間から白い頂が見えた時の感動とその美しさは言葉を失うほどです。
この時期、ヒマラヤは一面が緑に覆われ、様々な高山植物が咲きます。
筆頭は何と言っても「幻の花」とも言われるブルーポピー。
「そこ知れぬ魅力をたたえた」という花言葉の通り、岩場の影にひっそり咲く可憐な姿に目を惹かれることでしょう。
透き通るようなブルーの花びらに瑞々しく水滴をまとう姿はまさに「神秘的」です。
観光客の訪れが少ない時期だからこそ、味わえる神秘の世界。
二度目のヒマラヤ街道トレッキングはぜひ夏に訪れてみてください。